真空管アンプの音質とリアルさ

なぜ、真空管アンプの音は優しいとかリアルで艶っぽいなど言われるのでしょうか?
みなさんは「高周波歪み」という用語をお聞きになったことはありませんか?
「高周波歪み」とは、音には決まった周波数があり、基本となる周波数の他にその2倍、3倍という整数倍の周波数による振動がいくつも発生しています。
この整数倍の振動が出す音のことを「倍音」と言います。
この「倍音」のことを音響機器の世界では「高調波歪み」と呼んでいます。
もちろんアンプで再生する音にも高調波が含まれていて、元々の周波数を基本波と言います。
さらに、この基本波の偶数倍の周波数をもつものを「偶数次高調波歪み」
奇数倍の周波数を持つものを「奇数次高調波歪み」と分けています。
「偶数次高調波歪み」は基本波とオクターブ関係にあり、聴感的に心地よい響きを与えますが「奇数次高調波歪み」は遥か高域まで徐々に弱まりながら出続け歪として耳につきやすく不快音として感じられます。
真空管はその伝達特性上、歪みとして耳につきやすい奇数次の高調波が少ない素子です。真空管で作られた回路は「奇数次高調波歪み」を打ち消し「偶数次高調波歪み」を強調するように働きます。「偶数次高調波歪み」はもともと楽器の音にも豊富に含まれる「倍音」の成分なので豊かな音に感じられ、さらに「奇数次高調波歪み」が少ないことにより不快で聴き疲れする音が少ないことになります。
真空管アンプはこのような特性を持つので、自然界の音・本物の音により近い音を発生することができるというわけです。

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